重力から暗闇へ。そして私は微かな光へと向かう
2007年夏、とある男が車で通りすがりの夫婦を轢き死亡事故を起こした。事件は当時マスコミに大きく取り上げられ世間も騒ぐ中、自動車運転過失致死傷罪で懲役7年の量刑が確定。やがて事件は忘れられていった。
それから時は流れ2016年1月某日、刑期を終えた男はある場所へと向かうべく、深夜の高速バス乗場に現れる。乗り込んだバスは増発臨時便の小型のバス。
男は知らない、一夜に起こる不可解な出来事の数々を。それらが紡がれやがて一つの真実へと辿り着くことを。この夜空に向こう側があることを。その果てにかつてない壮絶な選択を迫られることになることを。
そしてバスは、ゆっくりと目的地へと発車した。